養育態度の変化が子どもの情緒安定と言語発達を促したケースについて

今回は、過去に私が担当したケースを通して、子どものありのままを受け入れて寄り添うことの大切さをお伝えしたいと思います。
(公開することは関係者に了解済みです)

★★★★★★★★

【来談の経緯】

彼は保育園児でした。
3歳児検診で言葉の遅れを指摘され、児童相談所の助言どおり保育園に入園されました。
集団に入れれば改善されると思われたようです。

しかし言葉の遅れからか対人関係がうまくいかず、奇声を発したり人を突き飛ばしたりする行動が目立つようになりました。

そのため、保育園から私が勤めていた相談センターを紹介されて来所されました。

【問題の見立て】

ご両親は本児が奇声を発すること、人を突き飛ばすことを主に訴えておられました。
特にお母様は短気なお父様に気を使い、叱責・制限・抑圧を繰り返しておられました。

セラピストの私(以下Th)は、こうしたご両親からの指示・命令・禁止の連続が本児への負荷になり、奇声を発する・人を突き飛ばすという形で表現されているのではないかと考えました

これでは本児自身の自己表現ができにくいと考え、伸び伸びと動けることに焦点を当てて方針を立てました。

具体的には、

1.セラピストは本児の自発的な遊びを通してありのままの本児を受容し、信頼関係を築くこと。

2.ご両親とは、話し合う中で、本児の願いは何なのか、それに対してどう応えていくのかを探していくこと。

【経過】

Thと初対面の時、本児はお母さまの影に隠れて薄目でThを見ていました。

プレイルームでは床に座り込んで箱の中の玩具を次々に開け、「オセロ」「セーフ・アウト・ヒット」と字を読んでいました。

お母様に「字が読めるのですね」というと、「教え込みました」と当たり前のようにおっしゃったのが印象的でした。

本児は肥満気味なこともあってか元々動作が緩慢で、初めの頃は特に行動範囲が狭かったですが、回を重ねるうちにセンターの敷地内の体育館などでも遊ぶようになりました。

体育館では、長くは続かないものの三輪車・トランポリンに何度も挑戦していました。

またThの「よいしょ、よいしょ」の声に合わせて、屋外の滑り台の階段を一段ずつ、足を揃えて上ることもありました。

色んな部屋に入って中の様子を見たり、キョロキョロ見回してから中に入ってドアを閉めたりするなど、自由で伸び伸びとした行動が見られるようになりました。

そうした中、言葉は2語文、3語文と話せるようになり、情緒も安定していきました

プラレールやバッテリーカーの走る音を嫌がるのは一貫してありましたが、協議の結果、音については何も怖くないことを伝えながら長い目で見守ることになりました。

本児の状態が改善するにつれ、ご両親の態度にも余裕が見られるようになったため、セラピーは終了することになりました。
最後に本児が、「ぼく、センター卒業するんや」とはっきり言ったのが印象的でした。

約3年間のケースでした。

★★★★★

【考察(by阪本)】

ありのままを受け入れることで本児が安心してThに働きかけられるようになったことが、言葉の発達を促した要因だったのではないかと思います。

言葉はただ暗記するだけではなく、人との関係があってこそ発達するものだということを改めて確認致しました。

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