疾患名と状態像

用語の整理をもう少し進めて参ります。
状態に対して付けた名称を状態像(病因には言及していない)、病因の視点で疾患に付けた名称を疾患名と言います。
例えば前者には「せき」「頭痛」「○○症候群」、後者には結核や脳腫瘍、○○癌などが該当します。

ある病院では自律神経失調症と言われ、別の病院ではうつ病と言われることがあったとしても、それはどちらかが誤診しているわけではありません。
自律神経の失調症状はうつ病患者の多くに発症するからです。

発達障害と境界性パーソナリティ障害

境界性パーソナリティ障害(境界性人格障害)という概念は解体を検討すべきではないかとの声が専門家から挙がっています
他者への理想化とこき下ろしを繰り返すなどによって(例えば他者を理想化して現実離れした欲求を抱き、叶えられないと最低な人だと言って罵るなど)、激しい感情のもつれに他者を巻き込むのが彼らの特徴であるなどと言われています。

しかし境界性パーソナリティ障害と診断された人たちの中には、双極性障害Ⅱ型や複雑性PTSDの人が相当数いることがわかってきました
基本的にパーソナリティ障害は薬物療法では治せないと言われていますが、双極性障害Ⅱ型なら薬物療法で安定します。
正しく診断されないことによって適切な医療が受けられないのは非常に残念です

彼らはなぜ誤診されたのでしょうか?
それは治療者の陰性感情(悪感情)です。
0か100か、白か黒かしかない二極思考、激しい行動化、治療者に理想化とこき下ろしを繰り返す、(診療時間等の)規則が曖昧なら混乱する等の特性によって治療者に陰性感情が生じ、治療が難しいと判断されれば「境界性パーソナリティ障害」と診断されてしまうということです。

基本的にパーソナリティ障害は薬物療法の対象外であり、カウンセリングでも対応がかなり難しい病理であると言われています。
(最近は認知行動療法やマインドフルネスなどが試みられ、エビデンスも出ています)
薬物療法でもカウンセリングでも対応が難しい。つまりこれなら治せなくても仕方がないという言い訳として「境界性パーソナリティ障害」が用いられていたということです。
しかも治療者に生じる陰性感情を患者の特性のせいにできる上に、自分には対応困難だと言って体(てい)よく排斥する理由にもできてしまいます
そして一度「境界性パーソナリティ障害」の診断がつけば他の医療機関でもなかなか診てもらえないという話も聞き及びます。(とにかく扱いが難しいと思われているので)

今日、発達障害(特にASDの女性)も境界性パーソナリティ障害と診断される例があることがわかってきました。
治療者の陰性感情をかき立てるし薬物療法の対象ではないから診たくない、受け入れ体制がないからという口実で、体よく診療を断られるのが境界性パーソナリティ障害から発達障害になるなら非常に残念なことだと思います。

人間関係は相互的なものです。
治療者(支援者)に起きる陰性感情を患者(クライエント)だけのせいにするのを診断名というレッテルで正当化する姿勢を支援者は意識化し、反省すべきだと思います。

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発達障害とパーソナリティ障害

パーソナリティ障害は状態に対して付けた名称、 発達障害は本質に対して付けた名称です。
例えるなら前者が頭痛や咳(症状や状態の総称)、後者が結核や脳腫瘍のようなものです。
また、パーソナリティ障害は後天性で脳器質上の病理ではなく、発達障害は先天的な脳器質上の特性です。

パーソナリティ障害という概念は発達障害が発見される以前からありました。
そのため以前ならスキゾイドパーソナリティ障害として捉えられていた人たちの相当数が、実は自閉症スペクトラム(ASD)だったのかもしれません。

 

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発達障害の概念の整理

2013年、診断基準(DSM)が改定され、発達障害の概念が再編されたため、様々な用語(概念)が聞かれるようになりましたので、少し整理します。

ADHDは、注意欠如多動性障害です。以前は注意欠陥多動性障害と呼んでいましたが、中身は同じです。
ADDは、ADHDのH、つまりhyperactiveが抜けたもので、多動がなく不注意優勢型です。
「片づけられない女たち」には主にこのタイプの女性のことが記載されています。

自閉症性障害は知的障害を伴う自閉症ですが、アスペルガー症候群・高機能自閉症・広汎性発達障害には知的障害は伴いません。
改定後の診断基準ではこれら4つが「自閉症スペクトラム障害(ASD)」としてまとめられました。

学習障害(LD)は、新診断基準(DSM5)では「限局性学習障害(SLD)」と記載されています。
ディスレクシア(読み書き障害)・ディスカリキュア(算数障害)はこのカテゴリーに入ります。

発達障害は主に、普段の行動観察や主訴(主な困りごと)、自閉症スペクトラム指数を測定する質問紙(AQ-J)やADHD傾向を測る質問紙(CAARS)、知能検査(WISC・WAIS等)などを基準に診断されます。
発達障害の人の知能検査結果は、ひどく苦手な部分と得意な部分が顕著に出ます。
発達障害が俗に「発達凸凹」と言われるのはこのためです。

そのため、彼らにはその発達特性に見合った教育が必要です。
(教育現場における合理的配慮の必要性)

彼らはいじめを受けて二次障害を発症したり、不登校になることもあります。
無理な登校刺激で再登校を目指すよりも、よりよい学習環境を用意することが大切です。

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