TOP > 全部 > 学問的な話 > 精神医学用語ではない言葉たち

学問的な話

2019.01.03 学問的な話

精神医学用語ではない言葉たち

発達障害当事者や関係者の間には広く浸透しているが、精神医学用語ではない言葉がある。
例えばギフテッド、アダルトチルドレン(AC)、HSP(またはHSC)、カサンドラ症候群などである。
これらの用語が使われること自体は否定しないが、発達障害当事者や関係者たちの言うことを聞いていると出所不明の用語(上述したのは心理学者から出た言葉ではあるが診断名ではなく、診断名と状態像の違いについては以前触れたが周知されていない)の氾濫が却って彼ら自身、および周囲を混乱させる一因になっているのではないかと思ったのでこの記事を投稿することにした。

ギフテッドとは神に特別な才能を与えられて生まれた者という意味である。
発達障害者の中にはある分野で健常者(定型者)には見られない高い能力を示す人がいるが、そうした可能性のある人たちを指している。
つまりギフテッドとはその人のもつ潜在的能力に対する周囲の評価や願望であり、診断名ではない。

ちなみにネット上で発達障害の子を持つ親御さんが「発達障害ではなくギフテッドです」などと書かれているのを時々目にするが、発達障害の当事者がそれを言うのをあまり見かけない。
我が子の障害をよりよく受け入れるためにギフテッドの概念を使う分には悪くないと思うが、「発達障害とギフテッドの違いは何か?」のような問いを「うつ病と双極性障害の違いは何か?」という問いと同次元で発するのは誤りであるし、無益である。

TOP